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オストメイトと脱水症状

オストメイトと脱水症状

近年、日本の夏はますます暑くなっています。

実際に気象庁が出しているデータで、直近30年間(1992年~2021年)の「猛暑日(35℃以上)」の平均年間日数が、統計開始後30年間(1910~1939年)の平均年間日数と比べて約3.3倍に増加しているというデータがあります。(参考:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」

夏場に注意するべき点はたくさんありますが、その中でも今回は脱水症状について取り上げていきます。

脱水症状は、実はオストメイトにとってかなり身近に潜んでいる症状なのです。

1.脱水症状とは

脱水症状とは、体内の水分(体液)が減少することで起こる身体の不調(疲労感やめまいなど)全般のことをいいます。

進行するまでの過程で症状が出にくいとされているため、気が付いたら重症化していた、という事例も多い症状です。

症状を未然に防ぐためにも、発症のメカニズムを理解し、正しい対策をとることが大切です。

脱水が起こるメカニズム

脱水は、体内の水分量のバランスが変化する(水分摂取量<水分排出量)ことで起こります。

体内の水分量は、成人で体重のおよそ60%を占めています。一般的に体内の2~3%程度の水分が失われることで症状に陥るとされているため、失われた水分をしっかりと補ってあげることが重要です。

また、排出される水分には「水」だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの「電解質」が含まれています。

「電解質」は体液の濃度を調整する働きがあるため、不足すると体内のバランスが崩れます。その結果、だるさやめまいなどの症状につながります。

主な水分の排出方法は「発汗」と「排泄」ですが、オストメイトに密接に関わるのが「排泄」の問題です。

特にイレオストミーの場合は大腸を経由することなく排泄がされます。電解質を含んだ便が一日に1000mL程度排泄されるため、脱水症状を引き起こす可能性が他の方たちよりも高いです。コロストミーの場合でも、下痢を発症してしまうと脱水の危険が高まりますので注意が必要です。

また、排泄量を減らすために食事や水分を控えることはやめましょう。下痢の際の水分制限も、かえって脱水を引き起こしやすくなりますので、食事や水分は十分に摂取するようにしてください。

実際の症状

では、実際に脱水になるとどのような症状が起きるのでしょうか。以下は一例になります。

[軽度の症状]

  • のどの渇き
  • 立ちくらみ
  • 頭痛
  • 微熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振

[中程度の症状]

  • 尿量の減少
  • めまい
  • 吐き気
  • 手足の震え・痺れ

[重度の症状]

  • 脱力
  • 意識の低下
  • 痙攣

脱水症状は、本人や周囲が気付きにくい症状なので、症状を悪化させないためにもセルフチェックが重要です。

特に唇の乾燥や倦怠感を感じた際は、脱水症状の可能性を疑ってすぐに対策に講じましょう。

2.脱水症状の対策

当たり前のことですが、脱水症状の一番の対策は水分補給です。

ただし、必ずしも水を飲むことだけが水分補給というわけではありません。

食事やおやつから水分を補給することもできますし、室内の湿度を整えることも水分補給につながります。

飲み物での水分補給

厚生労働省の出しているガイドラインによると、成人が一日に必要とする水分は約2.5リットルとされています。

そのうち食事などで補える水分を差し引くと、1.2リットルの水分を飲み水として補給する必要があるそうです。

水分補給の際は、水や麦茶をこまめに飲むようにしましょう。コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物や、アルコールは利尿作用があるため水分補給には向いていません。

また、汗をかいた際や下痢を起こした際などは、電解質を多く含む経口補水液やスポーツドリンクを飲むのがおすすめです。ただし、こういった飲料には糖分も多く含まれているため飲みすぎには注意をしてください。あくまで普段の水分補給は水や麦茶で行うようにしましょう。

暑くなってくると冷たい飲み物が飲みたくなります。冷たい飲み物は体温を冷やしてくれるため夏場の体調管理に重要ですが、摂取しすぎると腸が刺激されて下痢を起こしやすくします。冷たい飲み物の摂りすぎにも注意しましょう。

経口補水液の作り方

経口補水液
  • 沸騰させて殺菌した湯冷まし1リットル
  • 砂糖小さじ6杯
  • 塩小さじ半分
  • お好みでレモン汁

参考:日本ユニセフ協会

食事やおやつでの水分補給

水分は飲料水の他に、食事やおやつからも摂取することができます。

日本人の食生活は水分量の多いお米が中心のため食事から水分を摂取しやすいです。普段の食卓に、みそ汁や野菜スープなどの汁物を取り入れると良いでしょう。

特にトマトはカリウムを多く含むため水分補給に最適な食材です。ただし、皮が固いため消化不良を起こして腸をふさいでしまう恐れがあります。トマトを食べる際は皮を剥いたり、スープにしたりするなど、調理過程で工夫をして食べると安心です。

また、おやつにおすすめなのはみかんやりんごなどの水分が多い果物です。

特に柑橘系の果物に豊富に含まれているクエン酸は、ミネラルの吸収を促進する働きがあります。アンモニア臭を軽減する働きも備えているため、オストメイトの水分補給に最適な食材と言えます。

室内の湿度を調整する

脱水症状は暑い時期にだけ発症すると思われがちですが、実際には冬場に発症するケースも少なくありません。

その理由は、空気の乾燥です。空気が乾燥していると体から水分が失われやすくなります。室内が乾燥している場合には、濡れタオルや加湿器などで湿度を調整しましょう。具体的には湿度を60%程度に保つことで、体表から奪われる水分量を減らすことができます。

3.まとめ

いかがでしたか?

脱水症状は、水分と一緒に電解質が失われることで発症します。

排泄によって脱水症状を引き起こすこともありますので、特にイレオストミーの方は排泄量に注意をしてください。

普段の生活からしっかりと水分補給をし、脱水症状に備えましょう。

コラムコーナー「こころのふれあいひろば」のお知らせ

ザイタックのホームページでは、「オストメイトの明るいくらし」を実現するためのコンテンツとして、各界の有識者によるコラムコーナー「こころのふれあいひろば」を開設しています。

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ご自身の興味のある情報はもちろん、今まで触れてこなかった情報に触れることで、なにか新しい発見があるかもしれません。

「こころのふれあいひろば」が、オストメイトのみなさまの「明るいくらし」のキッカケのとなりましたらうれしい限りです。

公開日:2022.07.08 / 最終更新日:2024.04.04

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