ストーマ保有者の食事について
ストーマをつくった後、日常生活に戻ると様々な疑問や不安が出てくるかと思います。
特に「食事」については、ストーマと密接な関係にあるため多くの相談をいただきます。
ストーマをつくっても食事制限をする必要はありませんし、ストーマだからと言って食べてはいけないものもありません。むしろ、食事を楽しむことは健康を維持する上でとても大切なことです。
この記事では、ストーマでの食事について、ポイントと注意点をまとめて紹介していきます。食べたいものを安心して食べられるように、少しでも参考になりましたら幸いです。
1.ストーマをつくった後の食生活
ストーマをつくっても、厳しい食事制限をしたり特別な食事をとるような必要はありません。
もちろん食べ過ぎや飲み過ぎは体に良くないので、バランスの良い食事を規則正しく摂ることを意識しましょう。
また、よく噛まずに食べたり繊維質のものは腸が詰まりやすくなりますので注意が必要です。はじめのうちはゆっくりと少しずつ食べてみて、徐々に身体を慣れさせていくことをおすすめします。
- 炭水化物を主食に、たんぱく質やビタミンを意識した栄養バランスのよい食事を摂る
- 朝・昼・夜の三食を規則正しく摂る
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 繊維質のものは具材を細かく切って調理する
- 暴飲暴食をしない
2.体調に合わせた食事の工夫
体調に合わせて栄養バランスの良い食事を摂ることが非常に重要です。
食材によっては排泄物の性状を変化させるものがあります。食べ過ぎることで下痢を起こしたり便秘になることもあるため、食材ごとの特徴を調べておくと良いかもしれません。
下痢のときの食事
下痢の原因は、お腹の冷えやストレスなどの他に食事内容によるものがあります。食品によって下痢が起きている場合は、食事内容や調理内容を工夫することで改善することができます。
下痢の際は、冷たい飲み物やアルコールはお腹を下しやすいため控えましょう。
揚げ物などの油を多く使った料理も便をやわらかくします。油は使用しすぎず、煮たり蒸したりなど、調理方法を工夫することも大切です。
また、下痢をすると脱水症状を起こしやすくなります。水分補給も兼ねて、温かいスープやくず湯など、身体にやさしいものを摂取するといいでしょう。
下痢のときに食べると良いもの
(便を固くするもの・消化の良いもの)
下痢のときに避けた方が良いもの
(便を柔らかくするもの・消化の悪いもの)
便秘のときの食事
便秘の原因には、水分不足や運動不足などが考えられます。水分補給や適度な運動を心がけましょう。また、食事内容や調理内容の工夫で改善することもできます。
便を固くする食材としては、お餅やパンなどがあります。これらは便秘のときには避けて、食物繊維が豊富な食材や整腸作用のあるものを摂るように心がけると良いでしょう。
ただし、食物繊維の摂りすぎは腸を詰まらせる恐れがあります。細かく切ったりよく煮込んだりなど、調理方法を工夫すると安心です。
便秘のときに食べると良いもの
(繊維を含むもの・整腸作用のあるもの)
便秘のときに避けると良いもの
(便を固くするもの)
3.ガスやにおいを抑える
消化器系ストーマの場合
ガスが発生する主な原因は、食事の際に飲み込んでいる空気です。会話をしながらの食事や、すするような行為はお腹にガスを溜め込みやすくするためガスを発生させます。口をつぐんで食べたり、すすらずに食べたりなどの工夫をするとガスの発生を抑制できます。
また、食べ物によってはガスやにおいを発生させやすいものもあります。特ににんにく・玉ねぎなどのネギ属の野菜や、貝・甲殻類などのお刺身などはガスやにおいを発生させやすいです。
そういった食事の摂りすぎには注意しましょう。栄養バランスを考え、ガスやにおいを抑えるものを積極的に摂ることをおすすめします。
ガスやにおいを抑えるもの
ガスを発生させやすいもの
便のにおいが強くなるもの
また、パウチ内のにおいを消すアクセサリーとして、消臭潤滑剤という商品があります。
パウチ内に入れて使用することで消臭効果を発揮し、においの問題を軽減してくれます。
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尿路系ストーマの場合
尿のにおいを軽減するためには、尿を酸性に保つことが重要です。ビタミンCを多く含んでいるジュースや果物を摂ると良いでしょう。
ただし、ジュースには糖分が多く含まれているため、飲み過ぎはかえって良くないです。特に糖尿病やカロリー制限のある方は必ず医師に相談してください。
尿のにおいを抑えるもの
尿のにおいが強くなるもの
3.腸を詰まらせやすい食材
繊維の多い食べ物に関しては、腸を詰まらせる恐れがあるため注意が必要です。
特にイレオストミーの場合、消化の悪いものを一度に大量摂取することで腸閉塞を引き起こす可能性もあります。
こういった食材は細かく刻んで調理したりよく噛んで食べることがとても大切です。
腸が詰まりやすいもの
4.飲酒について
ストーマをつくってもお酒を飲んで大丈夫です。
無理に我慢をするとストレスが溜まってしまうので、適量を心がけてお酒を楽しんでください。
もちろん、体調面などでお医者様からお酒を止められている場合は飲んではいけません。
また、お酒の飲み過ぎは下痢を引き起こす可能性がありますので、飲み過ぎには注意をしましょう。
5.まとめ
いかがでしたか?。
ストーマをつくっても、厳しい食事制限をしたり特別な食事をとる必要はありません。
ただし、食事の相性には個人差があります。はじめて食べる食材などは少しずつ試してみて、徐々に身体に慣れさせていくと良いでしょう。
「食べたい」と思う気持ちは大切です。食事は心と身体を元気にしてくれます。
くれぐれも栄養バランスの偏りや食べ過ぎには注意し、健康で楽しい食生活を送りましょう。
この記事がひとりでも多くの方の参考になりましたらうれしい限りです。
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