オストメイトの睡眠について

オストメイトの多くが抱える悩みのひとつが、夜間の過ごし方です。「漏れが心配」「寝返りが打ちづらい」「夜中に何度も目が覚める」など、睡眠にまつわる不安や課題は少なくありません。
睡眠は心身を回復させるとても大切な時間です。十分な休息がとれないことで、日中の集中力や免疫力にも影響が出る恐れもあります。
この記事では、消化器系ストーマ(コロストミー、イレオストミー)と尿路系ストーマ(ウロストミー)、それぞれの視点から「快適に眠るための工夫や考え方」を紹介します。
1.ストーマと睡眠に関するよくある悩み
漏れ | 排泄によって装具が膨らむ、装具が剥がれる不安 |
---|---|
姿勢 | 寝返りによる漏れや外れの不安、横向き・うつ伏せで寝られない |
睡眠の質 | 夜中に何度も起きてしまう、不安で眠りが浅くなる |
精神的ストレス | 夢の中で漏れを感じる、パートナーに気を使う |
ストーマと睡眠に関する悩みは様々です。では、消化器系ストーマと尿路系ストーマそれぞれの視点で見てみましょう。
2.消化器系ストーマの場合
イレオストミー(小腸)やコロストミー(大腸)では、夜間も腸が動くため睡眠中にも排泄があります。そのため、「就寝中の装具の膨らみ」や「漏れ」に不安を感じて、途中で目が覚めてしまうという方も少なくないです。こうした不安を軽減するためには、就寝前に以下のような習慣を設けるとよいでしょう。
- 食事は就寝の3時間前までに済ませる
- 脂質の多い食事や食物繊維の摂りすぎはガスを発生させやすくなるため控える
- 腸の動きを活発にするカフェインやアルコールを避ける
- 寝る直前に装具の中身を空にする
- 固形便や泥状便が出る場合は消臭潤滑剤で装具内の流れを良くする
また、寝る姿勢は仰向けが基本です。横向きで寝る場合は、ストーマとは反対側を下にして背中側にクッションを入れるなどして身体の安定を保つと漏れなどのリスクが少なくなります。うつ伏せでの就寝はストーマの圧迫や漏れのリスクが高まるためおすすめしません。
装具が剥がれてしまわないか不安な場合は、腹帯やストーマベルトで固定することも有効ですが、締めすぎには注意しましょう。
3.尿路系ストーマの場合
ウロストミー(尿路)の方は、昼夜を問わず尿が出続けるため、夜間も装具に溜まり続けます。装具内が満杯になってしまうため、夜間は大容量の夜間用ウロバッグに接続しておくと安心です。装具と夜間用ウロバッグは、チューブで接続してベッドサイドに設置しますが、逆流によって感染しないように膀胱よりも低い位置に固定すると良いでしょう。商品によっては逆流防止弁が付いているバッグもありますが、100%防止できるものではないため、横にしたり逆さにしたりすることは避けましょう。
また、夜間用ウロバッグを使用する際にもう一つ気をつけたいのが、寝返りや足の動きによってチューブが引っ張られて外れてしまうリスクです。防止策としておすすめなのが、チューブを「太ももと太ももの間(股の間)」に通す方法です。こうすることで、チューブが身体に沿って安定し、足に引っかかって引っ張られるリスクが少なくなります。チューブが肌に直接当たるのが気になる場合は、柔らかいタオルや薄手の布で包んでおくと接触による違和感も軽減されます。
就寝前には、チューブの接続部がしっかりと固定されているか改めて確認しましょう。
4.睡眠の質を高める全体的な工夫
睡眠の質を高めるには、睡眠の環境を整えることが大切です。小さな工夫でいつもよりぐっすり休めるかもしれません。
- 防水パッドをシーツの下に敷いておく
- ゆったりしたパジャマを選ぶ
- 緊張や不安を和らげるために、就寝前に深呼吸や簡単なストレッチを取り入れる
- 夜中に目覚めたときに備えて手元ライトや交換品をすぐに使用できる場所に置く
また、完璧を目指すのではなく、「失敗しても次に備えられるようにする」というような心持ちが大切です。一人で抱え込まず、困りごとなどは家族や訪問看護師などに相談しましょう。
5.家族やパートナーにできる配慮
安心して眠るためには、周囲のさりげない配慮がとても大きな支えになります。
- 「何かあったら遠慮せず起こしてね」など、ちょっとした声かけを行う
- 過剰な心配はかえって負担になるため控える
- 自立心を尊重してそっと見守ることも大切
家族やパートナーが少しだけ「知っている」「わかってくれている」というだけで、本人の気持ちは軽くなります。自然なやさしさで、オストメイトの睡眠をサポートしてあげられると良いでしょう。
6.まとめ
いかがでしたか。
ストーマがあるからといって、眠りの質をあきらめる必要はありません。それぞれの身体と生活リズムに合わせて、少しずつ工夫していくことで安心して眠れる夜は確実に増えていきます。
この記事が、オストメイトご本人だけでなく、支えるご家族の皆さまにもより良い睡眠環境を一緒に作るきっかけになれば幸いです。
関連記事
〈 ザイタックお客様サポートセンター 〉
ご不明な点やお悩みのことがございましたら
お気軽にお問い合わせください
メールでのお問い合わせはこちら