ストーマ装具からの漏れの原因
オストメイトにとって、最も気になるテーマのひとつが「漏れ」についてではないでしょうか。
近年のストーマ装具は高品質ではありますが、それでも100%漏れないと断言することは難しいです。
また、装具の性能とは関係のない状況で漏れてしまうケースも多いため、オストメイトのみなさまにとって、漏れへの不安というものは必ずどこかにあることと思います。
漏れを防ぐためには、原因を知り正しく対策をすることが大切です。そこでこの記事では、一般的によくある漏れの原因と、その対策をまとめてご紹介いたします。
※あくまで一般的な解釈となりますので、参考程度に留めていただけますと幸いです。症状が重い場合や改善が見られない場合は、ストーマ外来などで医療者へご相談いただく事をおすすめいたします。
1.皮膚の状況による漏れ
皮膚のシワやくぼみが与える漏れへの影響
ストーマ装具を貼付している皮膚にシワやくぼみがあると、その部分に排泄物が潜り込みます。
特に、シワが面板貼付部の外側にまで続いている場合は、排泄物がそのままシワをつたっていくため漏れやすいです。
また、面板は排泄物が触れた部分に反応し、溶けたり膨らんだりする性質があります。
排泄物が潜り込み、面板のその部分に溶けや膨らみが発生すると、徐々に面板の機能は弱まっていきます。
その結果、通常よりも早く面板の粘着力が落ち、シワやくぼみの部分から漏れてしまうといった現象が発生します。
こういった状況を回避するためには、皮膚のシワやくぼみを無くし、面板貼付部を平らにすることが重要です。
皮膚のシワやくぼみの部分に排泄物が潜り込みます
「シワ」や「くぼみ」の対策
シワを伸ばしてからストーマ装具を貼付する
ストーマ装具を貼付する際、お腹のシワを十分に伸ばして皮膚を平らにしてから貼付すると、シワへの潜り込みが防げます。
特に座りながらの貼付は、前かがみになるためシワが寄りやすく態勢もつらくなります。座りながらや立ちながら貼付をする際は、姿見などの大きな鏡を利用すると、無理な態勢をとることなくシワを伸ばせるのでおすすめです。
また、中には寝転がりながら貼付をする方もいます。十分にシワを伸ばせて態勢も楽ですが、ストーマ周囲を目視出来ないため多少の慣れが必要です。
装具交換時は鏡を使用するとストーマ周囲の観察が楽になります
シワやくぼみを埋める
ストーマケアアクセサリーの「皮膚保護剤リング」を使用すると、皮膚のシワやくぼみを埋めて、皮膚を平らにすることができます。
「皮膚保護剤リング」はとてもやわらかく、粘土のように手で形を変えることが出来るため、ご自身の皮膚のシワやくぼみの形に整形して使用することが可能です。
また、ストーマ装具の面板と同じ皮膚保護剤で構成されているため、水分の吸収や緩衝作用など、面板と同様の効果が期待できます。
「皮膚保護剤リング」に関しましては、以下の記事で詳しくまとめていますので、よろしければご参考ください。また、オンラインストアで購入することも可能です。(サンプルも試せます!)
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2.面板とストーマサイズの不一致による漏れ
面板の穴がストーマサイズより大きい場合
面板の穴がストーマサイズよりも大きい場合、排泄物が皮膚に付着します。
その際、皮膚の小さなシワやくぼみに排泄物が潜りこむことで、漏れが発生するリスクが高まります。
隙間が広いと排泄物が潜り込みやすくなります
面板の穴がストーマサイズより小さい場合
面板の穴がストーマサイズよりも小さい場合、そもそもストーマを面板の穴に通すことができませんので、装具内に排泄物が溜まらずに漏れてしまいます。
また、無理やり通そうとするとストーマを傷つけてしまいます。ストーマには痛覚がないため、傷がついても気が付きにくく注意が必要です。
隙間が狭すぎるとストーマを傷つける恐れがあります
ストーマに高さがない場合
ストーマに高さがない場合も、漏れが発生しやすいです。
高さがない分、排泄物が面板の下に潜り込む可能性があるためです。
一般的に、ストーマの高さは1cm以上あると高いと言われています。ご自身でストーマサイズを測定することが出来ますので、定期的に測定してみるといいでしょう。
ストーマサイズの測定方法については以下の記事で詳しくまとめています。
ストーマサイズが合ってない場合の対策
面板の穴をストーマサイズに適したサイズにする
面板の穴とストーマサイズの間は、1~2mmの隙間が適切であると言われています。
フリーカットの装具を使用している場合は、1~2mmの隙間を意識して面板をカットするといいでしょう。
また、プレカットを使用の場合は、ワンサイズ小さいものもしくは大きいものにするなどの工夫をすることも出来ます。
いきなり購入するのはリスクがありますので、まずはサンプル品をお試しください。ご依頼いただければ、すぐにサンプル品を準備させていただきます。
面板とストーマの隙間は1-2mmが理想的とされています
ストーマと面板の隙間をアクセサリーで保護する
そうは言っても、どうしてもストーマと面板の間に隙間が空いてしまうケースはあります。
ひとつ例を挙げると、ストーマの形状が、上部が大きく下部が小さいマッシュルームのような場合です。
そういった場合、隙間が空いてしまうのは仕方がないことですので、それに対応した方法でケアをします。
ストーマ周囲の露出した皮膚に「皮膚保護剤リング」を使用します。皮膚保護剤リングが皮膚を守ってくれるため、排泄物が皮膚に直接触れるのを防止してくれます。
マッシュルーム型の場合は皮膚保護剤リングでカバーできます
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面板が凸型のストーマ装具に変更する
ストーマ装具の面板には、粘着面が平らな「平面型」と、粘着面が出っ張っている「凸面型」があります。
平面型のストーマ装具の場合、ストーマに高さがないと、排泄物が面板の下に潜り込む可能性があります。
凸面型のストーマ装具を使用することで、凸部分がストーマ周囲の皮膚に圧力を加え、ストーマに高さを出すことが出来ます。
ストーマのサイズが安定するため、漏れのリスクを減らすことが可能です。一般的に、ストーマの高さが1cmに満たない場合は、凸型のストーマ装具を使用されるケースが多いです。
ただし、安易に平面型から凸面型にストーマ装具を変更するようなことはやめてください。個人の判断で装具を変更した場合、装具を変更したことで状況が悪化してしまうケースがあります。
ストーマ装具は、皮膚の状況や体質などの様々な要素を考慮しながら、ストーマの専門家が決定するものです。現在使用している装具に違和感がある場合は、必ず医療従事者に相談しましょう。
3.便の性状の変化による漏れ
便の性状が変化した場合
便の性状も、漏れには大きく影響します。
特に、固形だった便が水様になることで漏れるというケースが多いです。
これには、ふたつの理由があります。ひとつは水様便の方がシワや面板の下に潜り込みやすいということです。固形よりも水様の方が小さな隙間に入ってきてしまいます。
もうひとつは、水様便は刺激が強く、面板の溶けやふやけを促進するという点です。そのため、固形よりも水様の方が面板の消耗は早くなります。
水様便の対策
水様便を固める凝固剤を使用する
ストーマケアアクセサリーの「凝固剤」は、水様便を固める効果があります。水に触れるとゲル化する特性があるため、あらかじめストーマ装具の中に入れておくと水様便がゲル状に固まってくれます。
これにより、水様便の潜り込みを少しですが緩和することが可能です。また、排出口がマジックテープ式の装具を使用している場合は、マジックテープの部分からの染み出しも防ぎます。
凝固剤の詳細については以下の記事でまとめていますのでご参照ください。
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水様便用のストーマ装具に変更する
ストーマ装具の面板には、水様便に耐性のあるものが存在します。また、排出口も水様便が排出しやすいようなキャップ式の装具もあります。
ただし、水様便に耐性のある装具は皮膚への刺激も強くなる傾向があります。個人の判断で装具を変更すると皮膚トラブルにつながる可能性がありますので、安易にストーマ装具を変更するようなことはやめてください。
ストーマ装具は、皮膚の状況や体質などの様々な要素を考慮しながらストーマケアの専門家が決定します。
現在使用している装具に違和感があるような場合は、必ず医療従事者に相談するようにしてください。
4.まとめ
いかがでしたか?
ストーマ装具から漏れが発生する原因は、一般的な例を挙げただけでもかなりの数があります。
特にシワやくぼみ、ストーマサイズといったところは多くの方に該当する部分ですので、一度ご自身でもご確認ください。
また、根本的な解決は医療従事者でないと行えません。症状が続くような場合は、ストーマ外来にかかり必ずプロの目で判断してもらいましょう。
繰り返しになりますが、この記事で紹介した内容は、ストーマケアの一般知識として知っておくべき内容になります。
すべての方に該当するものではございませんので、その点を理解していただいた上で参考にしていただけましたら嬉しい限りです。
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