小児慢性特定疾病の医療費助成

ストーマを持つお子様が受けられる医療費助成制度があるのをご存知でしょうか。
お子様が慢性疾患にかかっている場合、そのご家庭の医療費負担は高額になることが考えられます。
こうしたご家庭の経済的負担を軽減するための助成制度として、小児慢性特定疾病医療費助成制度というものがあります。
今回はこの制度に関して、対象となる方や申請の方法などをご紹介させていただきます。
1.小児慢性特定疾病とは
小児慢性特定疾病とは、以下の項目を満たしているお子様の病気のことを言います。
- 慢性に経過する疾病であること
- 生命を長期に脅かす疾病であること
- 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
- 長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること
2022年現在、およそ700以上の疾病が小児慢性特定疾病の対象となっています。
ストーマ造設の代表的な疾病としては、潰瘍性大腸炎やクローン病などが対象です。
疾病の詳細をご覧になりたい方は以下のリンクよりご確認いただけます。
⇒「小児慢性特定疾病の対象疾病リスト」(小児慢性特定疾病情報センター)を見る
2.制度の内容
制度の対象者
制度の対象者は小児慢性特定疾病にかかっている18歳未満のお子様になります。(場合によっては20歳未満まで延長が可能になることがあります。)
また、厚生労働大臣が定めた基準を満たしている必要があります。
疾病の状態によっては、小児慢性特定疾病にかかっていても対象とならない場合がありますのでご注意ください。(詳細は上記の「小児慢性特定疾病の対象疾病リスト」の「疾病の状態の程度」で確認ができます。)
申請手順
制度を利用するには「小児慢性特定疾病医療受給者証」が必要になります。申請手順は以下の通りです。
- 指定医療機関を受診し、医師に医療意見書を作成してもらいます
申請の際には専用の医療意見書を医師に作成してもらう必要があります。
なお、この医療意見書を作成できる医師は小児慢性特定疾病指定医のみになります。
お住まいの自治体で確認が出来ますので、まずは窓口に相談していただくことがおすすめです。その後の流れを教えてくれます。 - 必要書類を用意し自治体窓口へ提出する
申請に必要な書類を、お住まいの自治体の窓口へ提出します。
必要書類は申請書と医療意見書のみではありません。
自治体によって異なるため、申請窓口にご確認ください。 - 「小児慢性特定疾病医療受給者証」が交付される
審査会による認定審査を通過しますと医療受給者証が交付されます。
助成の内容
助成の内容は以下の通りです。
- 医療保険の自己負担割合が3割から2割に軽減される
- 所得や治療状況に応じて自己負担の上限月額が設定される
以上の内容から、この制度は、直接お金が給付される制度なのではなく、ご自身の支払う金額が軽減される制度だというのがわかると思います。
では、実際に自己負担の上限月額とはどういったものでしょうか。
以下の表は、医療費助成における自己負担上限額の一覧になります。
(小児慢性特定疾病センター「小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額」を加工して作成)
階層区分 |
年収の目安 (夫婦2人こども1人世帯の場合) |
自己負担上限額 | |||
一般 | 重症 | 人工呼吸器等装着者 | |||
Ⅰ | 生活保護等 | 0円 | |||
Ⅱ | 市区町村民税非課税 | 低所得Ⅰ(~80万円) | 1,250円 | 500円 | |
Ⅲ | 低所得Ⅱ(~200万円) | 2,500円 | |||
Ⅳ | 一般所得Ⅰ(市区町村民税7.1万円未満、~430万円) | 5,000円 | 2,500円 | ||
Ⅴ | 一般所得Ⅰ(市区町村民税25.1万円未満、~850万円) | 10,000円 | 5,000円 | ||
Ⅵ | 上位所得(市区町村民税25.1万円以上、850万円~) | 15,000円 | 10,000円 | ||
入院時の食費 | 1/2 自己負担 |
自己負担の上限月額は世帯の所得や治療状況によって定められます。
例として、階層区分Ⅴ「一般所得Ⅰ(市区町村民税25.1万円未満、~850万円)」の世帯の場合を見てみましょう。
この場合、1か月における自己負担上限額は10,000円となりますので、1か月に医療費を10,000円分支払った段階で、その月に関してはそれ以上の支払いの必要がなくなります。
(「重症」は、重症患者認定を受けられた方のみが対象になります。)
また、支払いに関しましては、病院の窓口で医療受給者証を提示すれば計算をしてくれます。
診察や治療の際は、医療受給者証を忘れずに持っていきましょう。
また、ここまで説明させていただいた助成に関しましては、医療費のみが適用です。ストーマ装具の購入などには適用されませんのでご注意ください。
3.ストーマ装具の給付
医療受給者証を持っていると、医療費の助成のほかにストーマ装具の給付制度に申請することが出来ます。(世帯の所得に応じて自己負担が発生します。)
申請の窓口はお住まいの自治体になります。申請をしないと給付は受けられませんので、必ず自治体の窓口に申請の意思を伝えましょう。
また、申請の際に必要な見積書はザイタックが作成します。申請の際に自治体の指示がありますので、指示に沿ってザイタックまでご連絡ください。
4.まとめ
いかがでしたか?
小児慢性特定疾病医療費助成制度は、2015年に新設された新しい制度です。
年々、対象となる疾病が拡大されており、今後もさらなる発展が予想される制度になります。
また、申請主義の制度となりますので、ご希望の際は必ず申請窓口に申請の意思を伝えるようにしましょう。
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