2023.07.18
ストーマ傍ヘルニアは、ストーマを造設している人に発生する合併症です。
しかし、ストーマを造設したすべての人がストーマ傍ヘルニアを発症するわけではありません。
今回はストーマ傍ヘルニアが起こる原因と予防の方法、発症してしまった場合にはどのように対処したら良いかについてお話します。
ストーマ傍ヘルニアとは、ストーマ周囲の皮膚が膨隆(盛り上がった)した状態のことを言います。
ストーマ造設時に腸管を引き出す際におなかにあけた孔から、腹腔内の小腸や大腸などが脱出することによって、おもに起き上がった状態のときに起こります。ストーマ造設術後、早ければ数週間、または数年経ってから発症する場合もあります。
ストーマ傍ヘルニアを発症する原因はさまざまです。
ストーマ造設時におなかに開けた孔が大きすぎる場合や、体重増加・肥満・加齢などによって腹壁が脆くなった場合、また、慢性的な咳や便秘などで繰り返しおなかに力が入ると腹腔内の圧が高くなるため、おなかに開けた孔が徐々に裂けることなども考えられます。
ストーマ傍ヘルニアを発症すると、ストーマ周囲の皮膚が膨隆するため、装具の面板を密着させるために必要な平らな面積が少なくなり、排泄物が漏れやすく管理が難しくなります。
このため予防と発症した時に悪化させないことが大切です。
ストーマ傍ヘルニアの予防はおなかに過度な力が入らないようにする必要があります。重い荷物を持たないこと、適正な体重を維持すること、便秘をしないような食事内容にすることを心がけましょう。
ストーマ傍ヘルニアはゆっくり進行するのが一般的です。
ストーマ傍ヘルニアを発症しても、寝た状態(仰向け)になると脱出した腸管が容易に戻り、便秘や腹痛などの症状を伴わなければ緊急性はないため経過観察になることも多くあります。
経過観察の場合には、ヘルニアの脱出を押さえるためにヘルニアベルトを使用することもありますが、使用が必要かどうかはストーマ外来の看護師や医師が判断します。
ストーマ傍ヘルニア発症後には注意すべき症状があります。
ヘルニアの脱出がもとに戻らず便秘や腹痛、吐き気やストーマの色が赤黒くなったなどの症状がある時には様子を見たり我慢したりせず、すぐにかかりつけの病院もしくは手術を受けた病院に連絡しましょう。これは、おなかにあけた孔に小腸や大腸がはまり込み、腹痛や腸管の循環障害を起こしている状態であり、場合によっては手術が必要になることもあります。
ストーマ傍ヘルニアはゆっくりと進行するのが一般的です。
ストーマ 外来などで診てもらうまで、ヘルニアの存在に気が付かないこともしばしばあります。
このため、ストーマのトラブルがなくても定期的にストーマ外来に通い、異常の早期発見や予防のための指導を受けることが大切です。
皮膚・排泄ケア認定看護師
<略歴>
日本看護協会看護研修学校 皮膚・排泄ケア学科(2013)
皮膚・排泄ケア認定看護師資格取得(2014)