株式会社ザイタック

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足からはじまる、からだの土台づくり

2023.07.10

はじめまして。
わたしは、「さとうリンパ浮腫研究所」、「マッサージ治療室のあ」の代表をしております佐藤佳代子と申します。
このたび、”暮らしのなかのむくみケア”について、連載をさせていただくことになりました。

わたしは長年、からだのトータルケアとむくみのケアを中心とした治療や教育活動に取り組んでいます。
そのなかでもリンパ浮腫治療との出逢いは、約28年前に遡ります。

わたし自身、思春期に病気をした経験があります。
10歳のときに腎臓の病気がわかり、そこから時間をかけて治療を続けていました。
運動制限や食事制限、とくに塩分を控えた食事が中心でした。

小学6年生の頃のある日、ひとり静かな時間を過ごしていると、ふと、「人はなぜ病気になるんだろう」という思いが浮かびました。
「健康を守るためにいつも働いてくれている細胞は、何をきっかけに病気になるんだろう」。
「病気になった細胞は、なぜまた健康に戻れたり、病気の細胞のままだったりするんだろう」。
「不治の病と言われた人のなかには、なぜ奇跡的に生還できる人がいるのだろう」。

「なぜなぜ」のループが延々と続くなか、いつしか「いのちや病気の本当のことが知りたい」と思うようになりました。

まわりを見渡すと、家族や親せき、友達、近所の人たちまでが、自分に起きたことのように、わたしの病気を治そうと一生懸命になってくれている姿が見えてきました。
なかなか治らない病気に、こころもからだも縮こまってしまっていたわたしは、お詫びと感謝の気持ちでいっぱいになり、涙があふれてきました。

そして、いつか病気が治るのを待つのではなくて、『自分に備わる治癒の力をからだのど真ん中において、自分の細胞の力で、病気を治そう!』と心に誓いました。
その瞬間、からだ中の細胞が同じ方向に意識転換したような、実感をもった感覚に包まれました。
自分の奥深くに「わたしの病気は治る」という確信が生まれ、その姿が遠くに見えたようでした。

”想いはカタチになる”

高校2年生の夏、その日が訪れました。
この頃、わたしは武道の稽古に励んでいました。心身鍛錬の奥深さや輝きに魅入って空手部に入部していました。インターハイに出場する強豪校でしたので、部活後の夜にも道場に通います。冬も裸足で稽古です。病院に通院しながら、先輩や仲間たちに必死についていきました。

空手には様々な足の運び方があり、型や組手での安定感や俊敏な動きを支えます。
閉足立ち、結び立ち、平行立ち、八字立ち、四股立ち、猫足立ち…。
今まで意識しなかった、足の運び方、立ち方が身についてくると、自然と「丹田」に意識が納まって、こころが整い、呼吸が深くなるのを感じるようになりました。

親の心配を背に続けてきた部活動ではありましたが、足から始まる、からだの土台づくりを通して、次第に基礎体力がつき、ようやく主治医から「完治しました」という言葉を聞くことができました。
あの日に脳裏に映った姿は現実のものとなり、ふたたび健康な状態を実感できるようになりました。

空手の鍛錬を通じて多くのことを学び得ましたが、もっとも大切な学びは、“想いはカタチになる”ということです。
背も小さく病弱だったわたしが、県や北信越地区を制覇し、インターハイにも2回出場する有力選手になりました。
先輩や仲間たちの温かい励ましに支えられ、どれもひとりでは成し遂げられなかったことです。入学時には誰にも想像できない姿でしたが、一縷の希望は、新しい穏やかな景色とちゃんと繋がっているのです。

”こころとからだはひとつ、相俟って生きている”

病気の経験を通じて、わたしはこの“宝物“に気づくことができました。

相田みつおさんの言葉のひとつに、「絆 一人では歩けない道でも 二人ならば歩けるものだ 愛と信の絆があるからだ」とあります。
わたしが医療の道を志したきっかけは、おなじ心の温度で、病気を癒すために寄り添ってくれたみんなへの感謝の気持ちです。
あの頃に、「自分もおなじように支えが必要な人のすぐ傍で、力になれる人でありたい」と深く感じたことが源にあります。

そして今日も、この小さな治療室に訪れてくださる患者さんの笑顔とともに、元気に過ごしています。

次回は、「むくみ」のケア方法についてご紹介したいと思います。
足は『病気の窓』といわれます。ぜひご自分の足をよく観察してみましょう。

PROFILE
佐藤佳代子 さん

リンパ浮腫療法士

20代前半にドイツ留学し、リンパ静脈疾患専門病院「Földiklinik(フェルディクリニック)」および「Földishule(フェルディ学校)」においてリンパ浮腫治療と専門教育の研鑽を積み、日本人初のフェルディ式「複合的理学療法」認定教師資格を取得。日々のリンパ浮腫治療を中心に、医療製品の研究開発、リンパ浮腫治療の普及活動、医療職セラピストおよび指導者の育成、医療機関や看護協会等の教育機関における技術指導、技術支援などに取り組む。

〈略歴〉
フェルディ式複合的理学療法 セラピスト資格取得(1998年)
フェルディ式複合的理学療法 認定教師資格取得(2000年)
ドイツ連邦共和国 医療マッサージ師 国家資格取得(2010年)
リンパ浮腫療法士資格認定(2013年)
NPO法人日本医療リンパドレナージ協会 副理事長(2014年)
国際リンパ浮腫フレームワーク・ジャパン研究協議会理事(2022年)