2025.11.27
こんにちは!中島小百合です。英語発音講師、通訳/翻訳、オストメイト認知啓発活動という3つの仕事をしています。子宮内膜症と直腸膣瘻で横行結腸一時的ストーマ10年生です。「こころのふれあいひろば」コラム第2回では、私の「心のふれあい」探しの日々をお届けします。
ある日、FedEx(アメリカの宅配便)でピザが届きました🍕
ワクワク箱を開けてみると、中は「Goodies(グディーズ/エエもん)」がミチミチに詰まっていました。うれしい✨
気の合う仲間に出会いたい、同じ志の仲間との心のふれあいを大切にしたい、と思う私は、日本オストミー協会(JOA)をはじめ国内外の10以上のオストメイトコミュニティに出入りしています。ピザ箱を届けてくれたのはUOAA(米国オストミー協会)のジェンさん。2023年から参加しているチャリティランのTシャツ&ゼッケンに、たくさんの資料を詰めて送ってくれました。
「You are not alone」(あなたは独りじゃない)という見出しから始まるUOAA紹介パンフレットには、全米には72万5千人~100万人のオストメイトがいると書かれています。アメリカの人口3億3650万人(2024年6月米統計局推計。外務省サイト参照)のうち、336人~464人に1人がオストメイトという計算ですかね。ちなみに日本は人口1億2321万人(2025年5月確定値。総務省サイト参照)のうち、22万人強がオストメイト(2022年4月調査報告書より。JOAサイト参照)。552人に1人くらいの計算です。
他には「オストメイトのための食事ガイド(75ページ!)」「オストメイト初心者ガイド(63ページ!)」「ストーマ管理と装具のチェックリスト」「思い込みバスターズ(ゴーストバスターズ的な感じで思い込みを書き換えるイラスト資料)」「こころの支援について」など、どれも手厚い!見やすい!フルカラー!の三拍子。
入院中にこれだけカラフルな紙の資料をもらえたら、それをベースにネットで入手した情報をたくさん書き足して「自分好みのカスタマイズ虎の巻」を作れていいなぁ❤とうっとり読みました。
特に感動したのは「ストーマステッカー」というハガキ大の台紙に丸いストーマのシールが印刷されたもの。こんな感じで服の上からストーマの位置にシールを貼ると、ストーマを露出することなく「こんな感じのものがおなかにあります」と認知啓発活動ができるツールです。
内部障害であるストーマの実物を(自分が)見せることがしっくり来ない私は、海外のクリエイティブなアイディアに救われることが多いです。海外にも日本にもストーマ(袋)を見せて認知啓発活動をしている方はたくさん居て、素敵だな、カッコいいなと思うんです。ただ私は障害があることを他人に証明して回らなければいけない世の中より、外から見えても見えなくても、身体や心に生きづらさを持つ相手にやさしい想像力で接する人の多い世の中を作りたいので。こういうシールを見つけたり、グロテスクにならないイメージ模型を作ったりして自分らしい啓発活動をするのが好きです。
そんな「私らしい」活動のひとつがUOAAのチャリティラン参加です。毎年違うデザインのTシャツを着て、5km のラン(の気持ちでウォーク 笑)します。
同じTシャツを着た仲間の写真を英語のSNSで見ると、不思議な一体感に包まれます。物理的な距離があっても、気持ちが一緒だと嬉しさが共有できるみたいです。
とはいえ私も誰かと一緒に写真を撮りたい!と、週2でお世話になっているジム「STLiNE(ストライン)」のトレーナー、祢次金さん(中央:元救急救命士)と笠井さん(右:鍼灸師)にカッコいいポーズをキメてもらいました。身体の事情を分かってくれるプロの指導のおかげで、筋トレもトラブルなく楽しめています。おなかにストーマがあると、他の人とは違う不安や面倒くささを感じることも多いですが… 自分の「やってみたい」気持ちを大切にして、その道のプロに相談してみると、心強い味方として新しい世界を見せてくれます。他の人とは違う人生を送ってきた人とお喋りするのって、本当に楽しいです。
いろんなコミュニティに出入りして、たくさんの人とお喋りしていると、たま~に気の合う仲間と出会えたり、心のふれあいが生まれたりします。
たま~に、です。
いつもでは、ないです。
私にはそれくらいが「エエ塩梅」です。
無理に他人に合わせたり、周りを遠ざけたりすると、疲れちゃいます。自分が心地よいと思える場所や人やコトを丁寧に選んで、自分のペースで楽しんでいるうちに… ある日アメリカからピザの箱が届いたりします(笑) そしてアメリカからインタビューの依頼が来ちゃったりして、英語でアワアワ1時間もお喋りさせて頂いちゃったりするようです。
皆さんもどうか、徹底的に自分らしく❤ご自身の「好き」を近くに置いてくださいね。
私と皆さんがそれぞれの「好き」を探してウロウロした先で、いつかどこかでバッタリお会いできたら、それはとても幸せなことだと思うんです。
きょうもお身体とお心を大切に、よい1日をお過ごしください。
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英語発音講師、音楽通訳・翻訳
オストメイト当事者
学習院大学文学部哲学科(東洋思想史専攻)卒業。
英語力ゼロで渡米。3年半でTOEIC満点、英検1級合格の英語力を習得。
米国バークリー音楽大学
Berklee College of Music
パフォーマンス(歌)学部卒業。
23歳から英語学習を始めネイティブ発音を習得。
音大で学んだ経験を活かした独自の発音指導方法を開発。
企業研修、個人指導などで英語発音の指導をおこなう。
通訳・翻訳業では、音大教科書の翻訳、音大教授のマスタークラス通訳、楽譜出版社の講義通訳、Zoomレッスンの同時字幕通訳、雑誌のインタビュー通訳などを担当。
結婚直後に腸管子宮内膜症で一時ストーマを造設。そのまま現在に至る。
「しあわせなオストメイトから明るくやさしい社会をつくる」を目標に全国で啓発活動を行う。