2025.10.23

英語発音講師、通訳・翻訳者として活躍しながら、全国でオストメイト啓発活動を行っている中島小百合さん。「しあわせなオストメイトを増やし、明るくやさしい社会をつくる」という想いのもと、講演や発信活動を続けています。
ザイタックが開催しているオストメイト交流会「ふれあいサロン」では講師としてご登壇いただき、自身の体験を明るく前向きに語る姿に多くの参加者が深く共感しました。
そのようなご縁から、今回「こころのふれあいひろば」での執筆をお願いしたところ、「ぜひ書かせてください」と快くお引き受けいただき、連載コラムが実現しました!
コラム掲載にあたって、中島さんからのご挨拶をいただきましたので紹介します。
こんにちは!中島小百合と申します。
2016年7月12日、腸管子宮内膜症で一時ストーマ(イレオストミー)を造設しました。半年後にストーマを閉鎖したところ直腸膣瘻がみつかり、同年12月に再度一時ストーマ(横行結腸コロストミー)を造設しました。
先生方からは「消化器外科、婦人科、形成外科、の3科合同で手術をすればストーマが閉鎖できるかもしれない」とご提案いただきました。しかし手術後の自分の身体を具体的に想像できない、ストーマとの暮らしが想像以上に快適、などの理由から、今のところストーマを閉鎖する予定はありません。
オストメイトである自分の身体とうまく付き合えているのは、学生時代に歌と英語を学んだおかげです。米国ボストンの音楽大学では個性的すぎるシンガー達に囲まれ、街ではさまざまな見た目の人がありのままの自分を謳歌し、周りの視線を気にせずファッションを楽しむ姿に感動しました。
英語話者のほうが「どんな体型でも、身体に傷や障害があっても、ありのままの自分を大切にする」という感覚が強いように感じます。手術直後から心と身体が落ち着くまでに半年ほどかかりましたが、新しい身体を少しずつ前向きに捉えられるようになったのも、海外のオストメイト当事者が集まるオンラインコミュニティでの交流がきっかけでした。
現在、英語発音講師、通訳/翻訳、オストメイト啓発活動という3つの仕事をしています。特にオストメイト啓発活動では「しあわせなオストメイトを増やし、明るくやさしい社会をつくる」という目標を掲げ、全国で講義・講演しています。
オストメイト当事者が術後の新しい身体を受け入れ、メンタルケアの基礎を学ぶことで揺れる心と上手に向き合い、障害に折れない健全な自己肯定感を保ち、自分の仕事で活躍し、病気の経験を通じて得た学びを社会に還元していけたら…しあわせなオストメイトから始める、明るくやさしい社会づくりが進むのではと信じています。
不安や戸惑いを抱える時期を経て、今の身体を受け入れ、前向きに暮らす──中島さんの姿は、多くのオストメイトにとって大きな励ましとなっています。
これから始まる計4回の連載は、中島さんが海外とのつながりの中で感じたオストメイトとしての気づきがテーマとなります。世界とつながる中島さんだからこそ語れるリアルな体験が詰まっています。
異なる文化や価値観に触れることで、読者の皆さまの日常にも新しい発見や安心が生まれるかもしれません。世界と日本、そして人と人との“つながり”を感じられるお話をぜひご覧ください。
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英語発音講師、音楽通訳・翻訳
オストメイト当事者
学習院大学文学部哲学科(東洋思想史専攻)卒業。
英語力ゼロで渡米。3年半でTOEIC満点、英検1級合格の英語力を習得。
米国バークリー音楽大学
Berklee College of Music
パフォーマンス(歌)学部卒業。
23歳から英語学習を始めネイティブ発音を習得。
音大で学んだ経験を活かした独自の発音指導方法を開発。
企業研修、個人指導などで英語発音の指導をおこなう。
通訳・翻訳業では、音大教科書の翻訳、音大教授のマスタークラス通訳、楽譜出版社の講義通訳、Zoomレッスンの同時字幕通訳、雑誌のインタビュー通訳などを担当。
結婚直後に腸管子宮内膜症で一時ストーマを造設。そのまま現在に至る。
「しあわせなオストメイトから明るくやさしい社会をつくる」を目標に全国で啓発活動を行う。