2025.08.20
これまで3回にわたり、腸のしくみと腸内細菌のお話をしてきました。ラストとなる今回は、筆者自身が毎日続けている腸活ルーティンを、理由とコツを添えてまるごとご紹介します。どれも特別な器具や難しいテクニックは不要。「できそう!」と思えたものから、ぜひ試してみてください。
パターン | 具体例 | 期待できる主なメリット |
ベジタブルファースト | サラダ・温野菜を最初に | 食物繊維で糖・コレステロールの吸収をゆるやかにし、咀嚼が増えて小腸ストーマの急排出を緩和 |
プロテインファースト | 朝のソイ+ホエイプロテイン15g、ゆで卵など | ”セカンドミール効果”で次の食事後の血糖上昇を抑制し、筋量維持にも直結 |
「朝やトレ前はプロテイン、昼・夕食は野菜を先に」など、シーンで使い分け。
どちらも“最初に口にするものを整える”だけで血糖と腸内細菌の揺らぎを小さくできます。
プロテイン入り豆乳を飲むことで、朝のタンパク不足を補充してます!これで今日一日元気ハツラツ!
大事な栄養をしっかり吸収させる“腸”を育てるには、食物繊維が重要です。2025年版「日本人の食事摂取基準」では、1日25g以上の食物繊維摂取が新たに推奨されています!
どう摂る? | 目安量 | ひとことメモ |
”藻活”(もずく・めかぶ) | 1パックで約3g | ヌルヌル成分フコイダンが腸壁をコーティング |
スーパー大麦、オートミールご飯 | 茶碗1杯で+5~6g | β-グルカンが短鎖脂肪酸の材料に |
きのこ&根菜ミックスみそ汁 | 1杯で約4g | 食物繊維とミネラルを”飲む”感覚で補給 |
水溶性繊維パウダー | 1回5g×2回 | コーヒーやスープに溶かせば無理なく+10g |
これで、毎日の合計が25g以上にぐっと近づきます。十分な食物繊維の摂取で、便性状も安定し、腸内細菌のエサが切れないことで、善玉菌がしっかり短鎖脂肪酸を作ってくれますよ。
毎日1杯のコーヒーに水溶性食物繊維パウダーを入れて飲んでます!怪しい粉じゃありません(笑)
腸活の要は腸内細菌…ですが、それを“育てて支える”体側の柱は、やっぱり筋肉。その筋肉の原料になるのが、たんぱく質です。
一般的に、体重1kgあたり1g以上が目安とされています。たとえば、体重60kgの方なら1日60g以上が目標。加齢や持病、手術後の回復期などでは、1.2〜1.5g/kgの摂取が推奨されることもあります。
ところが、日本人の食事調査では、朝食のたんぱく質量が1日で最も少ない傾向にあります。実際に「朝はパンとコーヒーだけ」などでは、10gにも満たないことも…。
朝こそ“タンパク質の貯金”をしておくと、日中の活動力にも違いが出ます!
たんぱく質は、筋肉だけでなく免疫細胞や腸粘膜の材料にもなっています。ストーマ造設後は、排泄や吸収の状況が個々に異なるため、必要量を満たすには工夫が必要な場面もあるかもしれません。
「消化吸収しやすい形で」「分けてこまめに」「植物性たんぱく質も活用して」――そんな視点で取り入れると、腸にもやさしく、効率よく活用できます。
最新の研究によると、実は1日8000歩以上のウォーキングにより、生活習慣病予防、癌予防、筋骨格系の健康、精神的健康など、様々な効果が得られることが分かっています。ですので、1日1万歩を目標に出来るだけ歩くように努力しています。
毎日4階まで明るく元気に駆け上がります!
腸活の基本は、善玉菌が住みやすい環境をつくること。ヨーグルトや発酵食品、乳酸菌サプリなどで菌を“追い乳酸菌”することで、
とくにオストメイトにとっては、排泄の不安定さが日常生活の質を左右することも多いですが、腸内フローラが整うと排便リズムや形状も落ち着きやすくなり、安心感が違います。
私が毎日4,000 IUを摂取しているのは、「骨と筋肉を守る最後のひと押し」になるから。
ウイルスや細菌に対抗するために、ビタミンDは免疫細胞を活性化させる“指令役”として働きます。感染症シーズンでも、以前より安心して過ごせている実感があります。
ビタミンDは、筋肉のタンパク質合成や筋線維の再生に関与しており、足腰の衰え予防にも効果的。特に40代以降では、十分なビタミンDが筋肉量やバランス能力の維持に直結していると言われています。
「カルシウムを摂っていれば安心」…では不十分!ビタミンDがないと、カルシウムはうまく吸収されず、骨に届きません。特に日光に当たる機会が少ない方や、食事制限がある方は意識して補いたい栄養素です。
私自身、日光にあまり当たれない日でも、サプリメントでしっかりとカバーしています。骨粗しょう症や転倒リスクの予防にもつながるので、腸からだけでなく“骨から支える”腸活として、おすすめです。
私の部屋の棚には、玄米、スーパー大麦、アーモンド小魚、乳酸菌サプリなど、腸活グッズが満載
腸活は「病気にならないための義務」ではなく、自分をいたわり応援する楽しいプロジェクト。ストーマライフは十人十色ですが、どのタイプでも「食物繊維+たんぱく質+少しの運動+菌&ビタミンD」が土台になります。
この4回のコラムが、みなさんの“じぶん応援プロジェクト”のヒントになれば本当にうれしいです。パウチ越しに聞こえる腸のつぶやきに耳を澄ませながら、今日も小さな一歩を踏み出してみませんか?
さあ、あなたの腸活ストーリーはここからが本番。これからも一緒に、心地よい毎日を育てていきましょう!
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医師
2002年杏林大学医学部卒業。
2006年同大学医学部消化器・一般外科教室に入局。公立病院、地域の基幹病院、離島の病院等で外科の経験を積む。
2021年亀有中央病院の院長に就任。
消化器外科のみならず、栄養管理チームのメンバーとしても活動し、現在も大学病院で治療に携わっている。