株式会社ザイタック

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前向きなオストメイトから元気をもらう

2023.07.31

Aさんは娘さんとお孫さんの3人暮らしです。80代と高齢ですが、シルバー人材派遣で週3日仕事をしたり、ご友人と毎日お茶したりととてもアクティブな方です。

2019年の春に直腸がんの診断を受け、ストーマを造設することになりました。

術後の初回装具交換の際に、はじめて病室でお会いした時には「娘や孫には迷惑をかけられないから、全部自分で覚えないとね」と話されました。

手先も器用で、装具交換の手順もすぐに覚え、大きなトラブルもなく退院されていきました。

退院して2週間後、初めて外来に来たときには「何回か漏れたんだけど、娘や孫が起きてくる前に全部きれいに交換したのよ。やっぱり臭うじゃない?」と、ご家族の手は借りず、ご自身で対処されたとお話しされました。

特に排泄物のにおいを気にされ、周囲へ気遣いが窺えました。装具の漏れに対しては装具の調整、においについては消臭潤滑剤やスプレーを紹介して対応しました。

自宅でのご様子を伺うと、「自転車に乗って友達の家にお茶をしに行ったの。久しぶりだったから楽しかったわ。ストーマができたことは特に親しい人にしか話してないんだけど、これ(ストーマ)があっても意外と気づかれないわね。」と笑顔でお話しされました。

「せっかく手術したんだし、楽しく過ごさないとね」

ストーマ造設して初めての夏には毎年参加されている盆踊りにも行ったそうです。

「今年は浴衣着なかったんだけど、来年からは着ようと思ってるの。やっぱり着て踊りたいわよね。」と話されました。

ストーマがあっても浴衣を着ることができるため、また着る前に相談しましょうとお話ししました。

術後数ヶ月後には、シルバー人材派遣のお仕事も再開されました。

「せっかく手術したんだし、楽しく過ごさないとね」と笑いながら話されたことがとても印象に残っています。

ストーマを造設しても術前と変わらず入浴したり、外出ができることを術前から説明していますが、術後数ヶ月が経過しても「まだ怖くてシャワーだけにしている」、「漏れが心配で、出掛けるのは近所のスーパーで買い物するくらい」という方は少なくありません。

それだけ排泄経路が変わるということは精神的にも肉体的にも大変な負担があるのだと毎回痛感させられます。

そのような患者さんがいる中、Aさんの前向きさにはわたし自身もとても元気をもらうことができました。

ストーマを造設される予定の患者さんや、造設された患者さんに前向きな気持ちになってほしい時には、Aさんのお話をさせていただくことがあります。

お話しした後には「ストーマがあってもいろんなことをやってもいいんだなぁ」と表情が明るくなる方ばかりです。

Aさんのようにストーマ造設後も術前と同じように生活できる方が増えるよう、これからも患者さんの気持ちに寄り添って支援していきたいと思っています。

PROFILE
園部祐子 さん

皮膚・排泄ケア認定看護師

<略歴>
日本看護協会看護研修学校 皮膚・排泄ケア学科(2013)
皮膚・排泄ケア認定看護師資格取得(2014)