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第3話:人工肛門(ストーマ)の造設

2024.01.04

入退院を繰り返し6回目。

主治医と話し合いをした結果、入院中に新しい治療薬としてシクロスポリンを使用しながら、人工肛門(ストーマ)の造設が決まりました。

初めての手術は『大腸全摘出のうえ、永久人工肛門の造設』という大きな手術となります。

本来ならば「怖い」「泣きたい」「やめたい」といった感情が湧いてきそうですが、私の場合、あまりの入退院の多さと腹痛の辛さ、下血による身体の不調のため、「早くこの辛さが消えてほしい」という気持ちが大きく、手術に対しての不安はそこまでありませんでした。

ただ、主治医や看護師さんからの説明が少なかったため、何がどうなるのか、ストーマのメリットとデメリットは何なのかが把握できておらず、インターネットや入院病棟の資料で長い時間調べました。

調べた結果は、ほとんどピンときませんでした。ストーマを造設する理由が様々だったためです。

潰瘍性大腸炎で切除、大腸がんで切除、交通事故で切除…。

また、造設位置は人それぞれで、ストーマサイズも人それぞれ。調べてしまったが故に、自分のストーマがどういうものになるのか、逆に不安に思ったことを覚えています。

手術当日、自分では不安はないと思っていたはずが、手術台に乗り硬膜外麻酔をされた瞬間、涙が溢れました。

看護師さんに背中をさすられながら、全身麻酔が施され、気が付けば移動するベッドの上で、親たちが涙ぐみながら見下ろしていました。

翌日はICUに入っていたため何もできず、自分の身体がどうなっているのかも把握できませんでした。寝すぎたため眠れず、時間が信じられないほど長く感じました。

この日の夜に入院病棟に移ると、看護師さんが自分のお腹の傷口を消毒したり、何かを触っている事がわかりました。

朝になり自分の身体を良く見ると、どんな状態かびっくりしました。

お腹に刺さっているたくさんの管。点滴の下がっている数。全身が痛く、ここから回復できるなんてにわかに信じられません。

しかも、この状態で看護師さんに「歩いてみましょう」と言われてしまいます。

管の量がすごいため、看護師さんが3人がかりで準備していました。「さぁ、行きましょう」と身体を起こそうとすると、まるで自分の身体ではないように重くて感覚がなく、激痛にも襲われました。この日は5、6歩を歩いてベッドに戻ったのですが、かなりの疲労が出たことを覚えています。

この日以降、順調に身体は調子を取り戻し、3日後には病室から出て廊下を歩けるようになりました。

おしっこの管が取れ、自力でトイレに行けるようになり、そこで初めてストーマ袋の交換というものを目の当たりにします。

はじめて見るストーマは、真っ赤で丸くて梅干しみたいな大きさでした。自分の身体から身体の中身が出ている光景がとても驚きで、不思議で、目を背けることもなく、ただ淡々と交換作業を見守っていました。

PROFILE
横山ぐぐ さん

福祉イラストレーター

人工肛門を保有するイラストレーター。
難病の潰瘍性大腸炎を患い、3年間の闘病も空しく回復の余地がなかったため大腸を全摘出し、人工肛門を造設。
1つ目の人工肛門は腸閉塞の末、小腸穿孔で閉じ、2つ目を造設。
この入院中にオストメイトのマンガを描き、それがきっかけでイラストレーターとなる。
現在はイラストレーターとして各種イベントや展示に出展し、各企業のチラシやPOP等の作成をしている。