2022.12.19
こどもは成長・発達とともに活動量や食事量(排泄量)が変化するため、それにあわせた装具選択が重要です。
身体的な変化のほか、精神的な成長を促し、社会生活を送るうえで必要なストーマケアのポイントについて、発達段階ごとにご紹介します。
新生児期から乳児期(0~1歳)
寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、つたい歩きなど、行動の変化があります。こどもの動きにあわせて装具の排泄口の向きを変えましょう。
寝る姿勢が多いときは横向きに、座る姿勢が増えたらななめ下向きにすると、便を溜めるスペースが確保しやすくなります。
ずりばいができるようになると、装具に刺激が加わり、はがれやすくなることがあります。
パウチのシャカシャカした音を楽しく感じ、装具をひっぱってはがしてしまうときは、衣服の工夫(オーバーオールなど)や腹巻きの使用でストーマを保護することが提案できます。
幼児期(1~6歳)
安定して歩くことができるようになったら、装具の排泄口の向きを下向きにします。
そしてこどもに、ストーマケアがゆくゆくは自分がおこなうケアであることを個々の成長にあわせて伝え始めます。
たとえば、装具交換をこどもが立った状態、または座った状態でおこない、一緒にストーマや便の観察をします。トイレットトレーニングとして装具の準備や便の廃棄など、こどもが興味を持ったところから一緒にやってみてもよいでしょう。上手にできたらたくさんほめ、ストレスが強いときはお休みをして無理せずすすめます。
小学校の普通級に通うためには、便の廃棄が自分でできることを求められるケースもありますので、それを見越して練習を始めます。
年齢に応じて、排泄に関する羞恥心や、ストーマケアは人前でおこなわない、などのエチケットマナーを育てることも大切です。
学童期(6~12歳)
小学生以降では、ストーマによる排泄に対してこどもがコンプレックスや劣等感を持つ可能性があります。
そして、予定外の便漏れや装具のはがれといったトラブルや、長時間のトイレの使用によって友人関係に悩むケースがあるため、こどもの理解と自立、学校関係者の理解と協力が必要です。
最近では訪問看護師が学校で支援するシステムが整いつつあります。様々な支援を活用し、こどもの思いや考えを大切にしながら、自立とトラブルへの対応能力を高めることが望ましいと考えます。
思春期以降(12~18歳)
思春期で出現する二次性徴によって、ボディイメージや自己肯定感の低下が起こる可能性があります。
将来の夢や希望とストーマのあるからだとで悩み、葛藤するこどももいるかもしれません。まずはこどもが自分のからだについて、より正確に理解できるよう説明する機会を持つ必要があります。
私が活動している神奈川県立こども医療センターには、大人になり自立した生活が送れるよう支援するための「みらい支援外来」があります。
そこで将来を考えるこどもをみると、家族や医療従事者など、周りの大人でこどもの未来を支え、応援できる体制を整えることが大切だと感じています。
皮膚・排泄ケア認定看護師
<略歴>
神奈川県立こども医療センター入職(2006)
認定看護師資格取得(2016)
あなたの「げんき」と「えがお」のためにみんなでちからをあわせます。