2022.12.05
こどものストーマのほとんどが先天性疾患により新生児期(うまれてから1か月以内)に手術で造設されます。そして、乳児期から幼児期にストーマ閉鎖の手術をおこなう方が多いです。
私は神奈川県唯一の小児専門病院である神奈川県立こども医療センターで、皮膚・排泄ケア認定看護師としてストーマケアが必要なこどもとご家族を支援しています。
育児をしながらのストーマケアに困難と不安を感じる方は多いと思います。今回は、こどもならではの特徴と工夫できるストーマケアの一部をご紹介します。
スキントラブルが起きやすい
成人の皮膚と比較してこどもの皮膚は外からの刺激に弱く、感染への防御機能も弱いため、便が皮膚に付着するとスキントラブルを起こしやすいです。
スキントラブルを予防するために便の量や性状にあわせて装具やケア方法を選択すること、装具の交換回数を適切に設定することが必要です。また、皮膚を保護する被膜材や装具の貼付を妨げない保湿剤を使用してみてもよいかと思います。
汗をかきやすい
汗を出し、体温を調節する役割を担うエクリン汗腺の数は新生児期に決定され、生涯増えることはありません。
一方で、皮膚の総面積はこどもの方が成人よりも狭いため、皮膚面積当たりの汗腺の数が密となり、発汗量が多くなります。
加えて皮膚温が高いことも発汗量の増加につながり、ストーマ装具の皮膚保護剤の溶解しやすさ、はがれやすさへとつながります。
発汗に対しては、耐水性の強い装具に変更することで貼付を保つことができるケースがあります。
しかし、汗を吸収し膨らんだ皮膚保護剤の接触時間が長くなり、あせもが発生する可能性もあるため注意が必要です。
その場合は、貼付可能な期間が短く、比較的安価な装具を選択し、皮膚を洗浄しきれいにする機会をこまめにつくるケア方法を提案しています。
体育や身体を動かす習い事で汗をかき、装具がはがれやすくなってしまうために参加することが億劫になるこどももいますが、装具の選択や交換のタイミングを調整し、運動を楽しんでほしいと思います。
排便回数が多く、便の性状が変わりやすい
これは新生児から乳児(0~1歳)のこどもの特徴です。
結腸ストーマよりも小腸ストーマの方が、また人工乳よりも母乳の方が便性はゆるくなりやすいです。
水っぽい便ほど皮膚保護剤の間に潜り込み、漏れてしまう可能性が高いです。そのときは凝固剤を検討してもよいかもしれません。
私は、身近にあるキッチンペーパーを丸めたものやコットンをほぐしたものをパウチ内に入れ、便を吸収させる方法を提案することもあります。
次回は成長発達段階ごとのストーマケアの特徴をご紹介します。
皮膚・排泄ケア認定看護師
<略歴>
神奈川県立こども医療センター入職(2006)
認定看護師資格取得(2016)
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