2022.09.15
私達は、2019年に運動を中心とした約2時間型の通所リハビリセンター(以下、通所リハ)を開設しました。
地域の方々が、午前と午後に分かれ送迎を利用して通われています。利用者はそれぞれ30名ほどで、みなさんが有酸素運動に取り組まれています。
理学療法士が個別の運動プログラムを作成することで、利用者一人ひとりの生活環境やニーズに応じたサービスを提供できることが特徴です。この活動も約5年を迎え、後方視的研究から利用者の日常生活に変化がみられることが分かってきました。
具体的には、運動を継続することで約7か月目まで運動機能が少しずつ向上していく、というものです。
運動機能検査には、より日常の動作の変化を捉えやすいTime up&Go Test(以下、TUGテスト)を使っています。TUGテストとは、椅子に腰かけた状態から立ち上がり、3m先まで歩き、折り返してから再び椅子に着座するまでの時間を計測するものです。
利用者の多くが、病気の治療中(治療後)の方や、生活に支援が必要な方です。TUGテストにおける運動機能の変化がそのまま日常の生活動作の向上感へとつながっていきます。
また、利用者の約8割の方は運動を8~9種類行い、動的ストレッチマシンであるホグレルも活用しています。
ホグレルとは、力を抜いた状態でマシンの軌道に従って、主に肩甲骨や股関節周囲を動かすことを目的にしたマシンです。
汗をかかずに、笑顔で会話をしながらの運動でも十分な効果を発揮することができます。
筋力増強運動のような高負荷の運動こそが、より良い運動のように考えられている方も多いかと思われますが、そうとは限りません。
実際には低負荷な運動でも繰り返し行うことで、TUGテストの十分な短縮が生じ、日常生活が送りやすくなることが分かっています。汗をかかずに、笑顔で会話をしながらの運動でも十分な効果を発揮することができます。
近年では、サルコペニア(筋力の低下)やフレイル(生活機能の低下)といった概念が注目されています。家に閉じこもりがちになることでエネルギー消費量が減り、認知機能と身体機能は衰えていきます。
大切なのは運動を習慣化することです。
低負荷・高頻度で安心して行える運動は、日常生活の維持・改善につながります。関心がある方は、お近くの通所リハをご利用されてみてはいかがでしょうか。通所リハなどを利用することで様々な方との交流も広がります。
人と接することでみなさまのココロとカラダの調整につながりましたら本コラム執筆者として大変嬉しく思います。
理学療法士
<略歴>
理学療法士免許取得(2003年)
沖縄県 ちゅうざん病院入職(2003年)
宮崎県 橘病院入職(2006年)
江夏整形外科クリニック入職(2012年)